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2017年10月14日 (土)

神倭伊波礼毗古命とシリウス

5)男神の神格
それでは、男神の神格と季節の関係はどのようになっているのでしょうか。

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春の神である邇邇芸命はだれも住んでいない葦原中国に降り立って地上を開拓します。若さとチャレンジと恋の神。夏の神である伊耶那岐命は伊耶那美命との間にたくさんの神々を作ります。子供の神々を保護する父です。
 
邇芸速日命は収穫の秋の神です。そして船なので交易の神でもあるでしょう。家庭は夫、社会では支配者としての役割を持っています。
 
猿田彦は冬の神です。猿田彦は国津神で、太陽神には臣下として使える神様です。
 
6)太陽神との関係
男神は昼と夜で性格は変わりません。
 

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太陽が弱々しい冬に天照大御神を守るのが父の伊耶那岐命です。
 
太陽が力を強めて天高く上る春に、太陽を運ぶのが邇芸速日命です。太陽が戦車や船で運搬されるというモチーフは、世界中の神話で見られます。
 
太陽が最も強まる夏には、天照大御神は神々を従えて支配者としてふるまいます。
 
秋の邇邇芸命の役割が不明瞭ですが、邇邇芸命は秋分点の神様である木花之佐久夜毗売と恋をしますので、邇邇芸命の役割は、太陽神の恋人と言えるのではないでしょうか。
 
 
6)太陽神の子供
しかしこれだけでは、太陽神を助ける役割を網羅したとは言えません。古代の日本人は、人間同様に太陽も人生のサイクルを持つと考えたようですが、だとすると太陽神の子供がいないといけません。
 
太陽が子供を産むのは、太陽が最も強力になる夏でしょう。だから太陽の子供は冬の星になります。さらに並の明るさではだめです。ひときわ明るい星である必要があります。冬にそのような星があるのでしょうか?あるのです。おおいぬ座のシリウスです。
 
おおいぬ座のシリウスはマイナス1等星で、全天で最も明るい星です。場所は、猿田彦の牡牛座とオリオン座の天宇受売命の真下です。
 
邇邇芸命の天孫降臨では、天押穂耳尊(馭者座)からスタートした邇邇芸命は、途中で猿田彦(牡牛座)の妨害を受けます。そこで天宇受売命(オリオン座)が猿田彦を屈服させて、邇邇芸命は葦原中国に到着します。
 
しかし邇邇芸命はそこで急に春の星空へ急行してしまいます。馭者座→牡牛座の先にあるのはおおいぬ座のシリウスです。ですから、邇邇芸命の天孫降臨神話は、もともと神の子供シリウスの神話だったのではないかと私は推測したいです。
 
天孫降臨神話とシリウスの位置関係。
 

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太陽神を取り巻く四季の男神

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7)神倭伊波礼毗古命と邇芸速日命の関係

皇室の始祖である神倭伊波礼毗古命には、星空上は支配者としての神格はありません。支配者としての神格を持っているのは邇芸速日命です。このことは、日本社会の特徴と言われる権威と権力の分離が、二千年以上前にはすでに始まっていたことを意味するのではないかと私は思います。

皇室は太陽神の子孫として敬われていたが、実際に政治をしていたのは、物部氏や葛城氏だったのでしょう。それが星座にも表れているのではないでしょうか。

しかし、唐や新羅の脅威を受けて、天皇の力を強くする必要が生じて、神倭伊波礼毗古命が邇芸速日命を討伐する神武東征神話が成立し、邇芸速日命の天津神を運搬するという役割は隠されたのではないでしょうか。

 

8)男女が織りなす日本神話

天津神神話の核には、男女の関係がこの世の創造と破壊を駆動するエネルギーとなっている思想があります。このように、神々が必ず男女セットになった神話を持っているのは日本だけです。

日本の文芸は男女の関係ばかりで、中国や欧州の古典から入った人は面食らいますが、そもそも日本人は神代の時代から、男と女がいなければ世の中が始まらないという思想をもった民族だったからであり、もはやこれは日本人の文化のDNAと言っても過言ではありません。

四季を動かすのも、天体を動かすのも、社会を動かすのも、人生のサイクルも、男女の間の感情のバランスで説明してしまう神話を、我々のご先祖さまは持っていました。ここまで徹底して男女の関係で世界を説明する思想を持っているのは日本人だけではないかと思います。

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