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2018年1月24日 (水)

易経勝手読み(八六)…水風井

久しぶりに、易経の解説の更新です。浄土教に言う「世界=宇宙」を理解する助けとなるからです。
 
やさしい易」では、水風井の解釈を変更しました。変更後の内容を紹介します。源易経の水風井は「世」という漢字です。
 
 
 
1)水風井
初六 井戸が汚れていて煮炊きに使えない。
    古い井(落とし穴)が破れて獲物が捕まえられない。
 
これは、汚れている、あるいはその汚れを取り除くを意味する「渫」です。
 
 
六二 ガマガエルも嫌がるような汚い穴(肥溜)
    水瓶に穴が開いて水が漏る。
九三 井戸の水が尽きて煮炊きに使えない
 
これは、穴から水が滴る状態を表した「泄」です。排泄の意味にも使います。
 
 
九三 親しい人に共感する
    桶に縄を結んで井戸の水をくむ
    悪人を摘発して縄をかける
    親しい人に福徳が及ぶ
 
これは、糸偏に世「糸世」という漢字で、きずなとか縛り付けるという意味の言葉です。
 
 
六四 秋(としつき)
 
年月を表す「世」です。
 
 
九五 井戸の水が澄んでいる、湧水が新鮮で煮炊きに使える
 
これは揲(手編に葉の草冠を取り除いたつくり)で潤すという意味。
 
 
上六 井戸を奪って封印してはならない。
 
媟(女編に葉の草冠を取り除いたつくり)で、秩序が乱れるという意味です。
 
 
2)世
いずれの漢字もつくりとして「世」を含んでいます。水が漏れるとか、次々と続くとか、繋がっているという意味を共通して持ちます。
「世」の金文は足を意味する「止」の先端部分に黒丸が書いてあります。したがって、本来の意味は「足指」と考えられます。そこから大きな本体からの分離という意味が派生します。足の指のように漏れ出る、足の指のように本体と分かちがたく結びついている、足の指のように一族が代々受け継ぐ、なるほどよくできています。
 
世と宇宙の関連は次回のエントリーで説明します。
 
 
3)漢字を生み出したのは本当に漢族なのか?
文字学者は、中国語の音を手掛かりに漢字の起源を解明しています。音が似た単語はもともとの起源が同じであろうという仮定から、漢字の起源を探る手法です。
 
私は白川静の「古代祭祀(要するに白川の脳内ソース)」よりも、音を手掛かりにした語源研究の方が確実であろうと考えています。しかし、それでも起源に到達できない漢字がいくつもあります。世もその一つで、甲骨文字は明らかに「足指」を指していますが、指と世の間には音の共通性は全くありません。
 
以前に書いたように、甲骨文字では師と官と追は同じ字形で、共通の意味(決められた道を通る)を持っているのですが、音の共通性はありません。音を手掛かりにした漢字研究がもひとつなのは、こういった文字家族を説明できないからです。
 
しかし、余る・漏れる・世代は日本語では全て「よ」という音でくくることができます。こういうパターンがいくつかあるのです。
 
したがって私は甲骨文字の根源的な要素を編み出したのは、東夷ではなかろうかと考えています。それを中原にあらわれた殷(商)が改良して、複雑な漢字の体系が出来上がったのではないでしょうか。
 
おそらく、日本語やインドシナの言語から、漢字の起源は説明できるはずです。日本語と漢字の相性がよいのは、元々漢字を生み出したのが、我々の祖先の一部だったからでしょう。

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