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2018年1月27日 (土)

湧出する宇宙と三千世界

「世」のもともとの意味は、葉っぱとか雫です。「世界」という単語は、二千年前に仏典を漢語に翻訳したときの、西域の仏僧の造語です。
 
仏典で「世界」と翻訳されているサンスクリット語の「セーマナ」は、現代の言葉でいうと「宇宙」に近いです。我々が住んでいるのとは別の空間と意味だからです。ではなぜ、彼らは仏典に出てくる宇宙(セーマナ)を世界と翻訳したのでしょうか?
 
 
大乗仏教の僧侶たちは、全ての宇宙は、如来の仏性(ぶっしょう)という根源でつながっていると考えました。根源的な仏性は全宇宙共通であり、根源的な仏性から、様々な世界が湧き出てくるという世界観を持っていました。
 
密教の曼荼羅は、中心の大日如来を無数の仏が囲んでいます。これは、根源的な仏性から、次々と宇宙が湧き出てくることを図称しています。
 
このイメージが、植物の葉が茎から分離して、広がっていく様子に近いため、仏僧は宇宙を意味する言葉として世界を使ったのです。世は漏れ出すという意味です。界は分離した境界のことです。従って「世界」とは、本体から漏れだして、独自の界面を持つに至った空間という意味になります。
 
水風井で見たように、「世」には本体から分離する、漏れ出すという意味があります。漢字の葉に世が含まれているのは、葉っぱが水滴のような形をしているのと、茎から漏れ出ているからです。
 
セーマナの訳語として世界を編み出したことから、二千年前の大乗仏教の祖師たちが、現代物理学と似た世界観を持っていたことが推測可能なのです。

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コメント

現代科学の多元宇宙論と発想が似ていますね。
数学が十分発達していない時代に、世界について考えぬいたのが仏教では無いかとも思います。

宇宙論の学者のテーブルに仏像が置かれていたりするのをテレビで見ますので、現代の科学者の方が、仏教に影響されているのではないかと思います。

似てくるのは当然の帰結であろうかと。

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