法華経(一)
法華経はジャータカのオールスター総集編です。ジャータカは現生パートと前生パートでできています。現生で起きた問題を解明するパートが前生パートです。
対する法華経は三重構造になっています。現生・説話・前生です。通常前生パートは添え者扱いされますが、ここでは前生パートの流れを追う形で法華経を分析してみます。
1)釈迦如来の前生
序品では登場人物の前生の説明があります。法華経の序品では釈迦如来の前生はヴァラ=プラバ(妙光菩薩)です。
妙光菩薩は過去仏のチャンドラ=スールヤ=プラディーパ如来(日月燈明仏)の一番弟子でした。日月燈明仏は妙光菩薩をはじめとする八百人の弟子たちに、「正しい教えの白蓮(妙法蓮華経=法華経)」を説きました。
日月燈明仏には八人の子供がいました。日月燈明仏は法華経を説き終わって寂滅し、妙光菩薩が日月燈明仏の教えを受け継ぎました。日月燈明仏に子供がいたというのは重要で、法華経は不犯(性交しないこと)を悟りの条件にしてはいません。
2)弥勒菩薩の前生
八百人の弟子たちの末席に、怠け者だけれど名声を得たいと願っていた求法者がいました。彼の名はヤシャス=カーマ(求名菩薩)、それが弥勒菩薩の前生です。
求名菩薩には俗っ気がありましたが、修行を積んで、様々な仏を供養したため、釈迦如来の次に悟りが約束されるマイトレーヤ族の菩薩(弥勒菩薩)として生を受けたのでした。
怠け者で、法華経の教えを居眠りしながら聞いていただけの求名菩薩が、現生では弥勒菩薩になっています。法華経の教えはなんとありがたいことかというわけです。
しかしただ単に弥勒菩薩であるから自動的に悟るわけではなく、前生の先生であった妙光菩薩の生まれ変わりである釈迦如来に出会って教えを復習することで、弥勒菩薩は悟りに到達できたのでした。
3)弥勒菩薩の役割
そこで、釈迦如来の一番弟子であるサーリプッタ(舎利弗)が、法華経を説いてくれと懇願します。それに対して釈迦如来は、この教えは偉大過ぎて現生の人間には耐えられないと断ります。
釈迦如来に対して次々と弟子たちが教えを説くように懇願しますが、釈迦如来は言を左右にして説いてくれません。したがって現生で法華経の教えを覚えているのは弥勒菩薩だけということになります。
弥勒菩薩は現生で法華経を説く役割を与えられています。
しかし弥勒菩薩ですら居眠りをしながら聞いていたので、内容を完全には知らないのです。
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