易経勝手読み(八七)…沢水困
三大難卦の一つである沢水困の新説です。
ずばり、これは海鼠(ナマコ)の生態を表しています。
易の中でも出てほしくない卦の一つであるとても怖い沢水困が、あのほのぼの生物のナマコだなんて信じられないかもしれません。
困という字の古い意味は「くるむ・つつむ」です。梱包ですね。困るという意味に使うようになったのは、実は易経からの連想です。困はこまるという意味だから沢水困は困難を意味する卦であるという説明は自家撞着に陥っています。易経にはこういうことが多いのです。
ナマコは棘皮動物で、袋状の身体をしています。骨はありません。袋状だから困です。
ナマコが住んでいるのは浅い海です。沢水ですね。
では細かい内容の解説に入りましょう。
初六
臀困于株木、入于幽谷、三歳不売
尻のように丸っこい形をしていて、袋状である。そして海藻に近くに住んでいる。環境が悪化すると、岩陰に隠れてじっとしている。売れるくらいの大きさになるまでに三年かかる。
九二
困于酒食、朱紱方来、利用亨祀
食べられそうになると、赤い糸(腸)を吐き出して身を守る、このわた(あるいはくちこ)はお供え物にできるくらい美味しい
六三
困于石、しつりによる、入于其宮、不見其妻
六さんはまだ研究中です。
九四
来徐徐、困于金車
ゆっくり歩く、車のような形をした口
九五
はなきられあしたたれる、困于赤紱、乃徐有説、利用祭祀
手足がなくて目鼻もない、赤いイボイボが生えている、体を硬くしたり柔らかくしたりできる、お供え物にできるくらい美味しい
上六
困于葛藟、于げきこつ
葛で編んだ衣服のような模様の色と身体をしている、体はイボイボでごつごつしている
どうです?磯に転がるほのぼの生物のナマコが目に浮かんできませんか?ナマコは昔から中国でも食べられてきました。ナマコは超弱い生物ですが、エサが足りなくても体を小さくして生き延びますし、ちょっと干からびても水を浴びれば生き返りますし、外敵に襲われたら、腸を吐き出して餌にして逃げるけれど数か月で元に戻るし、体を半分食われても復元したりします。結構したたかな生き物なのです。
これからは沢水困が出ても、慌てないで、ナマコのように天命を待つ気持ちを持つようにしたいですね。
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