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甲骨文字は、足を意味する止の小指部分を大きく強調した形である。
余りや滴を意味する。転じて泄れる(漏れる)という意味も持つようになった。
世代を意味するようになったのは、大きな入れ物から滴が連続して垂れていくのを、生命の連続に見立てたからと考えられる。
後に仏教が梵語のセマーナ(現在でいうところの宇宙)の訳語として「世界」という言葉を生み出したことにより、一塊の広い空間をも意味する漢字となった。仏教徒がセマーナの訳語として世界を使用したのは、まず「せ」で音が似ているのと、仏の真如から世界が派生していくという大乗仏教の哲学を表す漢字として適していたためであろう。
歸は帰の本字で、呂と箒が合わさった字形をしている。
箒は必ず手元に戻ってくるので、転じて家に帰ってくること。
箒を持つ女性が婦(正妻)であることと縁語になっている。
別に神殿にお供えのお肉を戻すなどというややこしいことを仮定しなくても、箒の使い方から簡単に導き出せる文字である。
学者は「庶民の日常生活から文字のような高尚なものが生まれるはずがない」という偏見を持っているから、却ってわからなくなる。
甲骨文字には師(呂)という字形がよく出てくる。
呂のように上下にロが並んでいて、その間を一本の縦棒が結んでいる。
それが何を意味するのかはいまだ不明である。
管、師、追、官などいずれも「ぞろぞろついてくる」という意味があるので、この字はやはり管を象形化したものと思われる。
甲骨文字の卸は巻いた糸と坐る人間の字形をしている。
おそらくこの巻いた糸は、日本の神主が神事の際に持つ白いひらひらが付いた幣(ぬき)であると考えられる。
神主は幣を使って神を「おろす」ので、卸に「上から下におろす」という意味があることにも符合する。
卸に示が付いた字が御であり、御神体の前で幣を振って魂振りする行為。
転じて、強い力を持つものを制御する意味となった。それで馬車の運転手を御者(馭者)と呼ぶ。
このように、日本語の方が漢字の語源解釈がスムーズにできることが多々ある。
機織り機に糸をセットし、膝の上に糸巻き具(太い丸い筒)を載せて、機織りをスタートすること。
転じて「初めて」「のせる」という意味になった。
従来の解釈では載に「初めて」という意味があることが理解できない。
耕すの左側は鋤(スコップ)を踏んで土を耕す象形文字である。
籍には何度も踏むという原意がある。元々は耕すことを意味する文字。
甲骨文字で先祖伝来の土地を表す籍には「昔」という字は入っていない。
戸籍というのは同じ土地を受け継いでいる家という意味なので、耕+昔で、先祖伝来の土地という意味。
親は辛(針)と見(目の大きな人)が合わさった文字。
金文の親は、家庭を表すウ冠が付いていることも多い。
従って、目を針のように細めて子供のことを見る人で、親の意味。
童が「目が大きな人」であることとセットの文字である。
36庸の糸巻きを人が両手で頂く字形。労働の報酬を受け取ること。
「幸」が単体で用いられる例は甲骨文字には無いので、幸という漢字は、報から派生した文字であると考えられる。
澤系の文字の中にも幸は入っているが、甲骨文字や金文の澤と報は全く形が異なるので、これは漢代の漢字整理で混同されただけであり、意味の間に関連はない。
古代文字字典によると、庸の甲骨文字は、機織りの杼と同じ形をしている。
即ち巻いた糸である。
租庸調の庸は税金を物納することで、糸や布を納税することは一般的だったので、労働の対価の意味である。
`(点)と各(収穫)で、収穫作業の後に田んぼに残る落穂のこと。
甲骨文や金文の洛は必ずしもサンズイではない。
落穂は集める物なので、転じて人が集まる場所。
士(切断)と口(石包丁)の会意。
稲穂を切断して、ほどけないように結ぶ行為。
古代では稲は脱穀しないで稲穂に着けたまま保管した。現在でもインドで見られる保存法。
転じて「まげ」(頭長で髪の毛を結ぶ髪型)、大人の男の意味。
稲の収穫ということから「めでたい、完成」の意味も持つ。
糸言糸 糸撚りの工程。
糸を紡ぐ工程では、麻、木綿、生糸の細い繊維を、唾で湿らせながら撚りをかけていく。
これによって、糸が強くなる。
そして糸を長くするために、二本の繊維の先端をけば立たせて合体させる。
これにより、繊維は入れ替わっているけれども、糸としての連続性は保たれる。
転じて、連続性を保ちながら性質が変わること。
従来の語源解釈が十分に説明できていない漢字を、主に取り上げていきます。
日本人の文化や思想と親和が高く、これは漢字が東夷によって発明されたことを示唆しているかもしれません。
口(石包丁)
右(石包丁を持つ手)
結・吉・髻(稲刈り)
各(稲の収穫作業)
洛(落穂)
路(足跡)
客(特別な人)
去(稲の収穫)
法(流し雛)
古(石器の刃こぼれ)
苦(ニガナ)
工(道具一般)
左(稲こき箸を持つ手)
差(脱穀)
巫(易者)
示(ご神体)
申(稲妻)
雷(田に落ちる雷)
禹(蛇の神様)
機(戈)(機織り機)
戒(緯糸打ち)
成(経糸の切断)
咸(経糸を縛る)
載(糸巻き具)
歳(機織りの一工程)
越(経糸の入れ替え)
幾(繰り返し)
庸(糸)
報(幸)(給料)
敦(編物)
復(杼の往復運動)
弋(矛)
斉(菱)
剤(切り揃える)
辛(細い針)
言(喉)
善(羊を褒める)
童(ひとみ・目が大きな人)
親(目を細める人)
新(まき)
変(變)(糸紡ぐ)
恋(戀)(心がより合わさること)
蛮(蠻)(髪をおさげにしている人たち)
辶(しにゅう系文字)
道(器官の通り道)
選・巽(カタツムリ)
方(犂)
辰(カワイルカ)
農(鍬で耕す)
羊(ひつじ)
善(羊を褒める)
鹿(しか)
慶(狩りの獲物)
法(流し雛)
日(太陽)
旦(日の出)
昔(何日も何日も前)
籍(先祖伝来の土地)
惜(むかしを思う心)
癸(竹の編物)
睽(蛇の目)
葵(タテアオイ)
管(ストロー)
師(軍隊)
追(おいかける)
帰(歸)(掃除の動作)
世(足の小指)
葉(滴形の器官)
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