漢字の世界―56 卸・御
甲骨文字の卸は巻いた糸と坐る人間の字形をしている。
おそらくこの巻いた糸は、日本の神主が神事の際に持つ白いひらひらが付いた幣(ぬき)であると考えられる。
神主は幣を使って神を「おろす」ので、卸に「上から下におろす」という意味があることにも符合する。
卸に示が付いた字が御であり、御神体の前で幣を振って魂振りする行為。
転じて、強い力を持つものを制御する意味となった。それで馬車の運転手を御者(馭者)と呼ぶ。
このように、日本語の方が漢字の語源解釈がスムーズにできることが多々ある。
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