鯨地名(長野県)
小海町には、小海という地名を聞いて鯨の夫婦が河を遡ってきたという伝説があります。
小海には、平安時代に八ヶ岳の噴火によって千曲川が堰き止められてダム湖ができ、それが数か月後に決壊して下流に大洪水を起こしたことが記録に残っています。この伝説は災害でできた堰止湖のことを指しているようにも、あるいは海を遡ってきた海部の物語のようにも読めます。
長野県南佐久郡佐久穂町海瀬
長野県南佐久郡佐久穂町下畑諏訪神社内
上記の小海を含め、佐久にはなぜか鯨にまつわる伝説が残っており、鯨塚・鯨宮もあります。捕鯨の伝説も伝わっているのですが、さすがに人類の歴史上、佐久まで海面が上昇したことはありません。これはおそらく古代の海部が佐久まで進出していたことを指すのでしょう。子の海部が南側の甲斐国から来たのか、あるいは東側の武蔵国から来たのかはよくわかりません。
長野県東御市本海野白鳥神社
古代から戦国時代まで小県郡の海野を支配した、海野氏発祥の地にある白鳥神社には、鯨石があります。近代に作られた噴水に付けられた名前なので、古代史とは関係がなさそうですが、海野は丸子部がいた信州丸子の隣です。海野氏が丸子部である可能性もあります。海野の白鳥神社は日本武尊伝説にちなんでいます。日本武尊伝説は鯨地名と縁が深いです。あるいはこの地域に、何か鯨の伝承があってそれを伝えるものかもしれないので、候補地として記しておきます。いつか現地調査がしたいです。
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