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2021年9月 8日 (水)

国譲り神話の原型

昔々この地上にまだ人間がいなかったころ、陸の動物と海の動物は互いに入り混じって住んでいました。そして人間は空の上で神様と一緒に暮らしていました。

 

ある日、天の神様が地上を人間に譲ることにしました。そこで地上にアメノワカヒコを遣わして、地上の全ての生き物の王様であるオオクニヌシに、地上を人間に譲るよう伝えようとしました。しかしアメノワカヒコはオオクニヌシの可愛い娘と仲良しになって仕事を忘れてしまいました。

 

天の神様はアメノワカヒコがなかなか帰ってこないのでどうしようか相談しました。そこで知恵者のオモイカネが声の大きな雉のナキメを送ることにしました。雉のナキメは地上に降りると大きな声で叫びました。

「やい、アメノワカヒコ、天の神様がおまえを地上に送ってからもう八年もたつというのにいったい何をしているんだい」

図星を指されて腹が立ったアメノワカヒコは弓矢でナキメを射殺してしまいました。その矢は雲の上まで飛んでいき、天の神様の集まっているところに落ちました。

「これはアメノワカヒコの矢ではないか。アメノワカヒコはオオクニヌシに寝返ったのだろうか?」

「アメノワカヒコが正しい心を持ったままなのであれば矢は当たりませんように、悪い心を持つようになったのであれば矢に当たって死んでしまえ」

そう言って神様が矢を放つと、アメノワカヒコに当たって死んでしまいました。このように神様との約束を守らないとバチが当たるのです。

 

神様は次に誰を地上に送ろうか相談しました。

「動物たちを従えるには、猟が上手い雷の神のタケミカヅチを送るのが良いだろう」

 

若くて意気盛んなタケミカヅチは雲の上から浜に降り立ってオオクニヌシに迫りました。

「地上の王のオオクニヌシよ、天の神々が地上を人間に譲れと言っている、さあ早く答えるのだ」

「私だけで決めることはできません、一番大きな息子のコトシロヌシの意見を聞いてください、コトシロヌシは海にいます」

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タケミカヅチが船を出して海に行くと、鯨のコトシロヌシは鳥と一緒に歌を歌ったり、大きな口を開けて小魚を食べて楽しそうにしていました。

「やいコトシロヌシよ、地上を人間に譲るのだ、さもなくばひどいぞ」

タケミカヅチはそういうと銛を構えました。

「おそれ多いことです、地上は天の神の子供の人間に譲りましょう」

そういうとコトシロヌシは大きな胸鰭で海面を叩き、大きな白い腹を見せると、海の底に潜っていきました。

「地上の皆さんさようなら・・・」

真っ先に天の神に従った鯨は、大昔と変わらず大きな体と人間のような知恵を持つ生物として残りました。

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それを見ていた鮭のタケミナカタは歯ぎしりをしました。

「コトシロヌシの兄さんはなんて意気地がないんだ、おれが目にものを見せてやるぞ!」

そういうとタケミナカタは沢山の子分を引き連れて海から川を遡ってタケミカヅチを攻めました。川が鮭の大群でキラキラと光って、大きな岩が迫ってくるようでした。

「こんな奴わけないぞ」

タケミカヅチはそういうと、熊のように片っ端から鮭を掴んで陸に引き上げました。

「うひゃあ、これはたまらない」

そういうとタケミナカタは上流に逃げていきました。タケミカヅチはどこまでも追いかけました。

「お許しください、私もコトシロヌシの兄さんにならって、天の神様に従います、どうか命だけはお助けを」

タケミカヅチはタケミナカタを許しました。だから人間は川を遡る鮭を取り尽くしてはいけないのです。これはタケミカヅチとタケミナカタの約束だからです。

 

タケミカヅチはオオクニヌシに再び迫りました。

「おまえの息子は両方とも天の神に従ったぞ、さあどうする?」

「こうなっては是非もありません。私も子供同様に天の神に従って地上を人間に譲りましょう。その代りに海の底に、この地上の宮と同じような御殿を作ってください。」

そういうと海の底に帰って行きました。海の底はオオクニヌシのご先祖様のスサノヲの命が住む場所だからです。

 

オオクニヌシを哀れに思った忠義深いラッコのクシヤタマは、海に潜って海藻を集め、腹で石をカチカチと鳴らして火をおこし、貝やウニをお腹の上で料理して、海に潜ってオオクニヌシに料理を捧げるようになりました。それでラッコは煤で焼けたように黒い体をしているのです。

 

このようにして地上は人間の住む場所となったのでした。

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