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2019年11月 1日 (金)

華厳経(十六) 徳生童子と有徳童女そして旅の終わり

46人目から先は解脱者です。

 

余り説明がないために、どういう人かわからないので飛ばします。

 

51人目と52人目の徳生童子と有徳童女を最後に取り上げます。

 

この二人は同時に現れます。

 

徳生童子と有徳童女は、すべての物質・国土(時空のこと)・心・菩薩(知性体)は幻であると言います。この世は宇宙コンピュータ上のデータであると言いたいのでしょうか?とすると、宇宙データベースである天主光童女は宇宙そのもの?

 

「この世の全ては幻なんだって」

「物質も、空間も、時間も、実体はないのさ」

「それどころか、人間が物や時間と思っていることと、情報の間には差がないのだよ」

「それらはみな存在しない何かでできているんだよ」

「その何かこそが・・・」

 

最後に男女の子供が出てきて、宇宙の謎をささやいて善財童子の旅は終わりです。

 

あとは弥勒菩薩・文殊菩薩・普賢菩薩に出会って旅の報告と打ち上げです。

 

さて善財童子の旅はいかがだったでしょうか?

二千年前にこれほど深く宇宙の深淵を覗いた人がいたことは衝撃的ですね。

2019年10月30日 (水)

華厳経(十五) 遍友童子師、善知衆芸童子

自らの意識深くに入り込んでアニマ(女性性)と出会い、世界樹にアクセスした善財童子は、天空から地上に降りてきます。そして遍友童子師の案内で善知衆芸童子に会いました。

 

遍友童子師の説明がないのですが、これは悟りを開いた後の長養を表しているのでしょう。悟りの世界から娑婆に戻ってくるには、リハビリが必要です。禅僧の生涯なんかを読むと、その話が出てきます。

 

さて、善知衆芸童子は全ての学術を記録しているAIです。

文字・算数・医薬・呪術・占い・気候・国土の安危(地政学)等など

全ての病気を治し、呪いを説くと言います。

 

世界樹にアクセスしただけでは現実世界では役に立ちません。世に役立つ学術を身に着けよと言っているわけですね。

2019年10月28日 (月)

華厳経(十四) 天主光童女

彼女は既に解脱したのだと言っています。従って如来ということになります。

 

遂に天宮に行って童女と会うと書いてありますので、これが善財童子の最終到達点でした。ここから先は人間の認識を超えた次元です。

 

世界樹の先ですから、これは世界樹が宇宙の果てへと続く宇宙エレベーターでもあることを示しているのでしょう。善財童子が求めてやまなかった現生のテーマ「女人」の彼にとっての真理を見た後で、彼は時の管理人に出会います。よくここまで来ましたね、ということで特別に時の管理人との面会がかなったのでしょう。

 

わざわざ宇宙の果てまで来て「女」を検索したこの正直者に時の管理人も興味を抱いたのかもしれません。

 

彼女はガンジス川の砂の数ほどの数限りない菩薩を見てきて、

・菩薩が母胎に入った時

・誕生の時

・よちよち歩きをしたとき

・口をきいたとき

・子供として遊んでいた時

・菩提樹の下で正しい悟りを開いたとき

・魔を下して人々を強化したとき

すべてを記録して、眼前に映像として再生できます。

 

この場合の菩薩というのは宇宙の知的生命体一般です。その人生を全て記憶しているのです。宇宙のデータベース(世界樹)そのものと言えます。宇宙のデータベースはなんと童女(少女)でした。

 

乳母、妻、生母と来て最後に現れたのが童女でした。

 

自分は八十四億八千那由他の仏を見てきた。

Wikipediaの那由多の説明によると

これは1038乗に等しいです。(億が108乗)

 

一つの銀河の中には一千億、大いい物では一兆の星があります。

人間が想定できる宇宙の範囲内には銀河は二千億個あるらしいです。

108乗の二乗ですから1016乗です。

1038乗はその二乗の1万倍です。

 

ということは、宇宙の知的生命体11人に宇宙の生命体全てが含まれていて、それが1万世代と考えると1つの宇宙の知的生命体の数として規模は合います。

 

善光宇宙時代では、ジャンプ州の塵に等しい数の仏を供養した。

無量光宇宙時代には、20のガンジス川の砂の数に等しい仏を供養した。

善悲宇宙時代には80のガンジス川の砂の数に等しい仏を供養した。

勝游宇宙時代には60のガンジス川の砂の数に等しい仏を供養した。

妙月宇宙時代には70のガンジス川の砂の数に等しい仏を供養した。

今は6つ目の宇宙です。少なくとも6つの宇宙を経験し

そこで起きたことをすべて残らず記憶しているというのです。

 

天主光童女の解脱の力ですべての神変の力を理解していると言います。これは究極の智慧です。その名も無礙念清淨解脫です。自分の法門が「解脱」と言っているのは彼女だけです。解脱と言っているわけですから、この後に控えている弥勒菩薩・文殊菩薩・普賢菩薩よりも格上です。

 

これは如来すら超えており、究極の存在と言えるかもしれません。しかし彼女は三十三天の一つ、正念王の王女ですから、まだまだ上には上がいるということなのでしょう。

 

宇宙の広さは果てしないのです。

2019年10月26日 (土)

華厳経(十三) 摩耶夫人

摩耶夫人は言うまでもなくお釈迦様の生母です。

 

善財童子は、摩耶夫人は如来に等しいと絶賛しています。善財童子は様々な女神や女性に出会い、最終的に母性に立ち返ったのでした。

 

乳母=仏教の未来である密教、すなわち精神世界と科学技術の融合

妃=可愛らしい純真な少女(善財童子はやはり…)

生母=生命を生み出す母は如来に等しい

 

善財童子は以上の結論を出したわけです。

 

しかしこれは童子個人の答えですので、それを絶対的な真理と受け取る必要はないのです。

 

お釈迦様の育ての親であるマハーパジャーパティーが、密教を管理する女神になっているというのは深い意味があります。そして生母のマーヤー夫人はこれからも未来の仏を生み出すのです。現身の女性の象徴であるヤショーダラー姫は、これからも男性と女性はともに歩んでいくことを象徴しています。

 

大事なことはお互いを思い遣る心だと華厳経は説いています。

2019年10月24日 (木)

華厳経(十二) カピラバットゥ城の瞿夷夫人(ヤショーダラー夫人)

彼女はお釈迦様の太子時代のお后です。華厳経では宿命通を持っていることになっています。何故かというと、華厳経ではヤショーダラ姫は、女の子が大好きな「運命の出会い」を司る神様になっているからです。

 

彼女はヤショーダラーになる前の人生でも大変な美少女だったそうです。

可愛らしい顔で、ぱっちりとした紺色の瞳で、可愛く赤い唇、利発でおしゃまでした。

 

彼女は王子に恋をしました。華厳経では母親との会話が書いてありますがこんな感じです。

「おまえ、最近ふさいでいるようだが、どうしたんだい?」

「お母様、私王子様に恋をしてしまったのです」

「おお、お前ほどの美しさならば、転輪王であっても振り向くでしょう」

「でもお母様、もしも王子様が私のことを好きでなかったら、私の胸は張り裂けて死んでしまうわ」

どこの少女マンガやねん。華厳経は本当にお経なのでしょうか、書いたの在家だよね(;^_^A

 

案の定、王子は出家の望みを持っていたのでした。彼女は自分の恋を諦めて、太子に仙人を紹介しました。その仙人は廬舎那仏の前生であり、太子はお釈迦様の前生だったのです。

 

太子は仙人の元で修行して菩薩になったのでした。そしてそれは釈迦族のシッダールタ太子として生まれた時に実を結んだのでした。

 

華厳経はヤショーダラー姫をお釈迦様の修行を妨げた「障碍」とはみなさずに、お釈迦様を解脱へ導いた重要な人間として取り扱っています。華厳経は、従来の仏教がみすごしてきた「女性」に正面から向かった教えなのです。

2019年10月22日 (火)

華厳経(十一) 妙徳円満林天

ここからはお釈迦様にまつわる人類の女性三人です。

ということは、地球から宇宙の果てまでやって来て

善財童子が世界樹で検索したのは「女とは何か?」でした。

 

妙徳円満林天、彼女の前生はお釈迦様の乳母である

マハーパジャーパティーです。

 

彼女が夜天になっていません。それは仏教では、マハーパジャーパティーはお釈迦様の元で比丘尼として修業して悟りを開いて、男女の性別を超えたことになっているからです。仏教の神様ですので、夜天ではないのですね。

 

彼女はルンビーニ園に住んでいます。お釈迦様がお生まれになった場所です。そして善財童子に十種の菩薩の受生法を教えます。自らの心の中に菩薩を生み出す密儀で密教の萌芽です。

 

  • 供養一切仏方便虚空願蔵菩薩受生法

    飽きることなく一切の仏を拝み続ける

  • 満菩提心枝蔵菩薩受生法

    誠実な仏の心で衆生を助ける

  • 現前方便観察寂滅虚空蔵菩薩受生法

    心を寂滅させて静かに観想する

  • 以浄直心普照三世蔵菩薩受生法

    仏具を使うので現在の密教のことらしいが詳細不明

  • 普照一切蔵菩薩受生法

    戒をたもって清浄な生活をする

  • 生如来家蔵菩薩受生法

    世間を離れて如来の定見を得る

  • 仏光明力蔵菩薩受生法

    障りがあるのでネットには書きません

  • 具足分別薩婆若門蔵菩薩受生法

    障りがあるのでネットには書きません

  • 一切法界化荘厳蔵菩薩受生法

    様々な姿で衆生を教え導く

  • 勇猛精進至仏地蔵菩薩受生法

    障りがあるのでネットには書きません

 

いろいろと誤解されると問題が多そうな部分なので、書けないことが多くて申し訳ないです。興味がある方は華厳経にご自分で当たってみてください。

2019年10月20日 (日)

華厳経(十) 開敷樹華夜天、願勇光明守護衆生夜天

開敷樹華夜天

これはパラソルが神格化された神様です。やはり世界樹でして、厳しい日差しや冷たい雨から人々を守ってくれる樹神のように優しい神様です。

 

さて奈良時代の光明皇后と称徳天皇の名前は、華厳経の開敷樹華夜天の説話からとっています。通説ではありませんが自明です。

 

遠い過去に人々が気候不順で飢えに苦しんだ時に、国庫を開いて人々を救った大王がいました。その名前が蓋妙音大王(パラソル大王)です。その時に村娘の寶光明童女が大王の徳を称えました。光明と称徳が出てきましたね。

蓋妙音大王=聖武天皇

寶光明童女=光明皇后

寶光明童女がした善行が称徳=称徳天皇

この見立ての重要なところは、寶光明童女が王族ではなくて村娘である点です。普通こういうところに出てくるのは転輪王の娘なんですが、寶光明童女だけは珍しく庶民です。だから非皇族で初めての皇后の名としてふさわしいわけです。

 

華厳経で国をまとめようとした聖武天皇の妻と娘にふさわしいお名前と言えます。

 

願勇光明守護衆生夜天

彼女も慈悲の神様です。善光寺の語源でもあります。

 

遠い過去の善光世界(宇宙)に善伏太子がいて、日宝光仏からの教えを受けていました。父の日勝光王に、罪人を釈放するように訴えました。王は太子の言葉を聴いて、罪人の罪を許したとのことです。 

 

なんだか太陽がいっぱい出てくるお話ですね。

 

この女神さまもやはり世界樹と関連があります。大きな樹というのは公正な裁判や恩赦の象徴だからです。裁判官は膨大な法律と判例を知っていなければなりません。従って智慧の象徴である世界樹と縁があるのです。

 

古代シナの詩集である詩経には召公の詩があります。召公は伝説では周の王族だったとされていますが、実際は陝西に連れていかれた商の貴族の元締めでした。召公は大樹の下で公正な裁判をしたと称えられています。

 

さらに、召公の名前は奭でした。白川静によると奭という漢字は乳房に刺青をした女性を表すそうです。大樹と縁が深い召公が呪力を持つ女性という意味の名前を持っていました。またしても世界樹と乙女というモチーフに帰ってきました。召公が巫女であった可能性も考慮すべきと私は思います。

 

卑近な例だと、クリスマスの夜にはヤドリギの下に立った女性にキスをしてもおとがめなしという西洋の風習があります。これも世界樹の恩赦の一例です。

2019年10月18日 (金)

華厳経(九) 妙徳守護諸城夜天

名前からして妙徳救護衆生夜天とまぎらわしいですが、彼女は一切の法蔵を分別するですから、全ての意味を記録するデータベースの一部です。

 

即ち寂静音夜天が世界樹のゲートキーパーなら、その世界樹の先にあるデータベースの検索ソフトが、妙徳救護衆生夜天というわけです。

 

何故検索ソフトであるかというと、彼女は陀羅尼(呪文・マントラ)の力で衆生を救ってくれるからです。これは検索ソフトに単語を入力したら、その説明がパッと出てくるシーンをイメージすればよいでしょう。

 

その陀羅尼とは

1)一切諸法円満陀羅尼

2)持一切諸法円満陀羅尼

3)一切法雷震円盤陀羅尼(震雷?)

4)諸法起信円満陀羅尼

5)転一切仏名号輪円満陀羅尼

6)分別演説三世諸仏大願海円満陀羅尼

7)摂一切乗海円満陀羅尼

8)照一切衆生業海燈蔵円満陀羅尼

9)一切法現前旋流勇猛円満陀羅尼

10)一切智勇猛円満陀羅尼

 

善財童子はまだ世界樹に触れてはいません。ゲートキーパー(オペレーター)に出会い、検索ソフトと会話しただけです。

 

妙徳救護衆生夜天の前生の名前は、法輪化光比丘尼です。某宗教が華厳経を参考にしているかどうかを私は知りません。

 

2019年10月16日 (水)

華厳経(八) 寂静音夜天

これは世界中の神話に現れるモチーフです。

すなわち世界樹と乙女です。

 

どの民族の神話にも世界樹は現れます。世界樹は宇宙の智慧にアクセスするためのゲートです。そしてそのゲートキーパーは必ず女性です。

 

お釈迦様は菩提樹の下で悟りを開いきました。菩提樹の下で静かに解脱を味わっていたら、通りかかった村娘のスジャータから乳粥の供養を受けました。これはお釈迦様の悟りが天から祝福されたことを意味します。それはおそらく史実なのでしょうが、お釈迦様にとっては鮮烈な体験となったでしょう。解脱者が、世界樹の乙女から祝福を受けるという神話を、インテリだったお釈迦様はご存じだったからです。

 

また、ジャータカの最古層には樹神が登場するお話があります。それはその説話がヴェーダに対して否定的であることから、釈迦族の古い神話だろうと推測できます。釈迦族は樹神を信仰していたようです。

 

世界樹として最も有名なのは北欧神話のユグドラシルです。これもやはり女神ノルンと縁があります。

 

変則的な形で伝わっているのは聖書の創世記です。楽園にあるリンゴの木は明らかに世界樹です。従ってイブは世界樹のゲートキーパーです。しかしイブは不純な理由で世界樹の知識を漏らしてしまったために、アダムとともに楽園を追い出されました。

 

さて、日本神話には世界樹の概念が乏しいです。天御中主命(高木神)が世界樹なのでしょうが、あまり存在感がありません。しかし三種の神器は智慧の象徴です。だから神倭伊波礼毗古命に預けた天照大御神には世界樹のゲートキーパーの役割があります。

 

あるいは日本には村ごとに鎮守の杜があり、そこには御神体の巨木があります。村を見守る神が宿りますから、まさしく世界樹です。日本では世界樹があまりにも身近なのですね。記紀神話に世界樹の影が薄いのは、このような真理につながるための鍵を、朝廷は独占しようとしなかったからです。日本では各自に真理に触れる権利があるのでしょう。

 

寂静音夜天は人々が家の中でリラックスして、妻や子供と話す時のように分かりやすい言葉で教えを説いてくれると言います。如何にも女神らしいとは思いませんか。

2019年10月14日 (月)

華厳経(七) 妙徳救護衆生夜天

彼女は衆生の死後の行き先を見通す力があります。

地獄衆生の楚毒を滅し、

畜生衆生の悩害畏を滅し、

餓鬼衆生の飢えを取り除き、

龍の畏れを取り除き、

欲界衆生の欲の苦しみを滅し、

諸人類の闇冥畏を取り除きます。

 

彼女は宇宙で初めて仏像を作った功徳によって女神となることができました。

またあるときは妓人(芸人)として如来を称えたとありますので芸能の神様でもあります。

 

彼女のモチーフは、菩提樹(世界樹)のほとりの池に生えて、千年に一度花を開き、予言をする蓮華です。

龍と縁がありますので、弁財天と似た神格を持っています。(弁天様のことはあまり知らないので断定は避けておきます)

 

さて油断していると見過ごしてしまいますが、この菩提樹こそが善財童子の旅の目的です。

ここからしばらく菩提樹に因縁がある女神さまが登場します。この女神さまの来歴は、前生話である上に、似たような話ばかりなので、ついつい現代人は「荒唐無稽」「退屈」として読み飛ばしてしまいますが、華厳経はジャータカから派生していますから、この退屈に思える前生のお話の中にこそ主題があります。

 

似たような話に見えて、各女神の前生話には微妙な違いがあります。退屈な繰り返しの中にあるほんのちょっとの相違点に主題を潜り込ませるのがジャータカの流儀です。ジャータカの流儀で善財童子を読むと、彼にはちゃんと目的があって、登場人物もその目的に沿って並べられていることが明確にわかるのです。それを見ていきましょう。

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