2017年2月23日 (木)

ジャータカ(九)…ケチな豪商

並外れた吝嗇を戒める話。珍しくモッガラーナが主人公です。モッガラーナはサーリプッタと並ぶ釈迦の二大弟子と言われながらほとんど逸話がありません。この話はジャータカの中にほかに類型がなくて異色です。真面目なジャータカの解説書には決して出てきそうにない説話ですので紹介します。
 
 

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2017年2月18日 (土)

アンギラス

円谷映画に出てくるアンギラスは、もともと仏教に出てくる神様の名前です。とても由緒正しい神様で、お釈迦さまは自分をアンギラスの末裔と自称していました。
 
 

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2017年2月12日 (日)

ジャータカ(八)…社会貢献

仏教には社会貢献を重視する潮流もあります。日本の高僧には地方の開発に尽力した人たちが数多くいます。行基菩薩がその筆頭で、道を清め、橋を架け、用水を開いて人々の暮らしを豊かにしました。大仏建立には、流民に生活の糧を与える面がありました。弘法大師による満濃池修築、綜芸種智院(庶民の学校)建設も有名です。
 
仏の教えによる社会貢献は大乗仏教の専売特許ではありません。ミャンマーではサンガが地域開発と相互扶助の拠点となっています。おそらくタイやスリランカでもそういう仕組みはあるでしょう。
 
これから紹介する説話は、社会貢献を重視する観点から説かれています。
 
 

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2017年2月 7日 (火)

ジャータカ(七)…ラーフラの修行の真相

「聖おにいさん」という漫画があります。お釈迦さまとキリストがバカンスで日本の立川市に滞在して、普通の青年として生活したらというギャグマンガです。作者は仏教とキリスト教のことをとてもよく調べていて、私も好きな作品です。
 
その中で、お釈迦さまの息子ラーフラが便所を寝床にする修行をしていた話が出てきます。この話の元ネタはジャータカの第16話「三様の姿態をとる鹿前生物語」です。ジャータカには仏教教団の戒律の起源が多数記録されていて、これもその一つです。便所で寝るという修業は、果たして好意的な意味を持っていたのでしょうか。
 
後世には立派な修行とされていたことが、起源まで遡ると実はそうでもなかった、現代人が考えて変なことは、やはりお釈迦様の時代でも変なことであったということが分かるお話です。
 
 

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2017年2月 5日 (日)

ジャータカ(六)…楽しく住む者

初期仏教教団にいた釈迦族出身者についての材料が出てくる説話です。
 
 

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2017年2月 3日 (金)

ジャータカ(五)…物覚えが悪い修行僧

ジャータカは古代インドの仏教説話集です。内容はお釈迦さま生前の言葉、教団が巨大になってから作られたお話、古代インドの神話から頓智話まで種々雑多です。春秋社の全集10巻には約500の話が収録されており、頁数も文庫サイズにして5千ページと膨大です。
 
14年から読み始めてようやく第8巻までたどり着きました。その中から興味深い話を紹介していこうと思います。
 
仏典に残る仏弟子はたいていは立派な人ばかりです。お釈迦様に難しい質問をし、お釈迦さまも深遠な答えを返しています。しかし、仏弟子のみんながみんな、出来が良かったはずもなく、物わかりの悪い弟子もいました。
 
 

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2014年12月 7日 (日)

ジャータカ(4)・・・アーナンダ

オリジナル版の「ブッダ」第7巻を読んだ。この巻から後半の主役とも言えるアーナンダが登場する。悪魔に育てられた青年時代のアーナンダが悪行三昧に身を染める部分は完全に手塚治虫の創作。この部分は妖艶な悪魔が登場して、カッサパ仙人やブッダと超能力合戦を繰り広げるなど手塚には珍しい怪奇物の色彩を帯びている。

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2014年11月 3日 (月)

ジャータカ(3) インドのかぐや姫

仏教説話集のジャータカに驚くべき話を発見した。

天界の生物が、ヒマラヤの蓮のつぼみの中に少女となって生まれ変わる。他の蓮の花は枯れてしまったのに、そのつぼみだけは閉じたままである。そこにヒマラヤの行者が水浴びにやってきて、つぼみを開き少女を見つけて娘として育てる。
 
やがて少女は絶世の美女に育った。神々の王サッカですら彼女を賛美し、宮殿や着物や食べ物を贈る。森の番人が評判を王に伝える、王は森の奥の宮殿に出向く。窓辺にたたずむ少女を見て王は恋をしてしまう。
 
王は求婚するが、育ての親の仙人は「娘の名前が分かったら結婚させてやろう」と言う。王は三年の間名前を探し悩む、その間に国は荒れ果て、家来は四散し、王はすっからかんになってしまう。何度も諦めようとするが、その度に少女は美しい姿を窓辺に現し、王をけしかけるのであった。
 
しかし、苦し紛れにつぶやいた言葉が正解で、王と少女は結婚し幸せに暮らしたという。
 
なんと、竹取物語と全く同じお話。紀貫之はこの話を参考にしたのではないだろうか。特にかぐや姫が異世界の住人で、植物の中に生まれるというのはジャータカを借用したのだろう。ただし、深山幽谷に美女がいて、男を惑わしすというモチーフ、謎が解けたら結婚してあげるというモチーフは世界中の昔話や神話に共通なので、全てが全てインド起源ではないだろう。
 
「ジャータカ」には他にシンドバッドの冒険そっくりの話もあります。

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2014年9月21日 (日)

ジャータカ(2) バラモン教との妥協

ジャータカ全集第2巻に釈迦の四姓平等の教えがバラモン教に取り込まれていった分かりやすい例があったので紹介します。
 

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2014年9月 7日 (日)

ジャータカ(1)

ジャータカ全集を読み始めました。ジャータカとは釈迦の前世物語集でお経の一種。古代インドの昔話です。世界中の神話や物語の枠組みが網羅されていると言われています。イソップ物語もジャータカの影響を受けたとされています。
 
全10巻のうち1巻までしか読んでいませんが、それだけでもわらしべ長者やネズミの婿取りの原型のような話を見つけることができました。戦後はそうでもなくなりましたけれども、昔はお坊さんというと面白い譬え話で、仏法をわかりやすく信徒に説く人というイメージがあったそうです。ジャータカはその譬え話の種本です。
 
ジャータカは紀元前のまだできたばかりの頃の仏教教団の姿を記録していると言われています。ジャータカの冒頭には釈迦の悟りを開くまでの伝記が挿入されています。この伝記は脚色が少なく、史料として正確なのではないかと言われています。中村元はジャータカの記述を元に釈迦の生涯を再現しようとしました。
 
このジャータカはどの宗派の経典かというと、面白いことに律宗です。律宗とは戒律の遵守を信奉する宗派です。ジャータカには釈迦が修行僧に戒律を守るように教え諭すパターンがあります。釈迦は「お前は前世でこの戒律を守らなかったから今苦しんでいるのだ」という具合に修行僧を教え諭しています。
 
ジャータカはだいたい4類型に分けられそうです。
1)釈迦の生涯とバラモン教に批判的な記述
2)修行僧に戒律の遵守を説いた記述
3)在家信者を教えに導く法話
4)完全なとんち話
 
ジャータカは現実に起きたトラブルや信者の疑問から始まって、そこに釈迦が登場して前世物語を説いて問題を解決するという構成になっています。この登場人物を上の類型に当てはめるとこうなります。
 
1)釈迦
2)釈迦+サーリプッタ+(アーナンダ)
3)釈迦+アーナンダ+在家信者
4)釈迦+その他の在家信者
 
サーリプッタは戒律の基礎や哲学的考察と結びついて登場します。サーリプッタはマガダ国首都のラージャガハで教団をまかされ、釈迦の思想を理論的にまとめたと言われています。2)はサーリプッタ本人、もしくは彼の弟子たちによって作られた説話でしょう。
 
アーナンダは釈迦の従兄弟で、晩年の釈迦を世話しました。彼は在家信者と交流が深く、あまりに彼らの世話を焼いたため、時に女性に追い回されたり、修行が遅れたりすることがあったと言います。
 
また、釈迦の継母マハーパジャーパティが出家しようとした際に釈迦は女性が教団に入ることを躊躇しましたが、アーナンダが釈迦に要請して釈迦は女性の出家を認めたと言われています。
 
アーナンダは仏教の在家への布教に大いに預かったと言われています。3)の譬え話を使って信者を教え諭すというのはアーナンダのアイデアだったのかもしれません。3)はアーナンダ本人や彼を慕う人によって作られたのでしょう。
 
2)と3)では比丘(出家者)たちが屋根のある家に住んでいたり、料理係が作る料理を食べていたりします。これは山野での修行と托鉢を修行の重要な実践と考えていた釈迦の教えにそぐいません。2)と3)は釈迦の死後に作られた話です。
 
4)はとんち話や商人の成功物語などで、後の方から経典に追加されたのでしょう。また4)では金・土地・美麗な衣服・御馳走を教団に寄付すればするほど功徳が積めると説いていて、そろそろ仏教教団も堕落が始まっていたことがわかります。
 
1)は収録数は少ないのですが重要です。初期の仏教はカースト制度を否定し、バラモン教の祭儀にも批判的でした。生前の釈迦は六師外道をやり込ませ、苦行を捨てました。あるいは行者のトリックを見破ることなどもあったと言います。
 
しかしやがて仏教はバラモン教と折り合いを付けるようになりました。後世の経典では釈迦の修行や布教をインドラや転輪王が助けたということになっています。ジャータカでも釈迦がバラモン教の神々として転生したりしています。
 
しかしジャータカに含まれる釈迦の伝記では、釈迦の成道を邪魔しようと悪魔が襲ってきたのに、バラモン教の神々は悪魔を恐れて退散してしまいます。その時に釈迦を守ったのはジャータカでは大地の神、木の神、蛇の神(川の神?)だったとされています。
 
またジャータカには羊や牛を犠牲として捧げるバラモン教の祭儀を非難する話があります。ほとんどのジャータカでは釈迦以外の登場人物がいて、この物語に出てくるAはアーナンダの前世であり、Bは私(釈迦)の前世である、という風な注釈がつくのですが、バラモン教を真っ向から非難する話だけは釈迦しか登場しません。そしてその中で釈迦は自分は木の神であったと言います。
 
私はこのバラモン教を非難する話だけは釈迦本人が説いた話が伝わったのではないかと思うのです。
 
そして、釈迦本人が説いたと思われる話から、シャカ族がバラモン教ではなく、大地や木や川の神(蛇)を崇拝する宗教を信じていたのではないかと考えられるのです。

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