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2023年10月 8日 (日)

邇芸速日命の真実

私は以前に日本神話と四季の星座: おかくじら (cocolog-nifty.com) というエントリーを書きました。天孫系の神話は星の物語であり、太陽(天照大神)がそれぞれの神の星座を訪れることによって、季節が回るという世界観を古代の日本人は持っていたのではないかというものです。

星座と神様の対応関係です。                                                           

星座 太陽 黄道 男神 女神
星座 星座
冬至 射手座 伊耶那岐命 蠍座

伊耶那美命

春分 ペルセウス座

邇芸速日命

アンドロメダ座

御炊屋姫

夏至 牡牛座 猿田彦 オリオン座

天宇受売命

秋分 牛飼い座

邇邇芸命

乙女座

木花之佐久夜毗売

 

そしてそれぞれの神様が持っている性質です。                                                                       

星座 太陽 黄道 男神 女神
星座 星座
冬至 伊耶那岐命 伊耶那美命 母→死
春分 邇芸速日命 航海・収穫 御炊屋姫 妻→内部分裂
夏至 猿田彦 占い・政治 天宇受売命 祭・乳母?
秋分 邇邇芸命 武力・若さ 木花之佐久夜毗売 娘・美→衰え
 
この仮説は邇芸速日命の神話がほとんど伝わっていない弱点がありました。しかし古事記や日本書紀を分析するうちに、どうやら邇芸速日命の神話は、仁徳天皇の事績として形を変えて記録されているのではないかと考えるようになりました。
                                                                       
星座 太陽 黄道 男神 女神
星座 星座
冬至 伊耶那岐命 伊耶那美命 母→死
春分 仁徳天皇 航海・収穫 大后石之日女 妻→内部分裂
夏至 猿田彦 占い・政治 天宇受売命 祭・乳母?
秋分 邇邇芸命 武力・若さ 木花之佐久夜毗売 娘・美→衰え
仁徳天皇の事績は説話的な内容が多く史実とはいいがたいと言われています。仁徳天皇の事績と伝えられるのは

1-疲弊した国民のために3年間税を免除した

2-仁徳天皇は艶福家で、大后(皇后)は嫉妬して天皇と対立した

  2-1吉備海部直の女の黒比売と菜摘をする物語

  2-2八田皇女に通う天皇に嫉妬して、皇后は祭祀のための御綱柏を船から捨てた

  2-3大后は山城に逃亡、養蚕起源神話の類型、日本書紀では大后はそのまま宮には帰ってこない

  2-4女鳥王と結婚しようとするが速総別王に横取りされてしまう

3-日女嶋の雁の卵(武内宿禰が登場する)、朝鮮半島の影響が伺われる物語

4-兎寸河の大木で作った大船、太陽の船の神話と考えられる

このように仁徳天皇の物語は、私が邇芸速日命の神格として予想した航海と収穫を象徴しています。大后も嫉妬で周囲を振り回して内部分裂を象徴しています。

 

また、大后は祭祀のために自ら船に乗って紀伊国まで出かけてお供え物を集めています。自らをないがしろにする仁徳天皇に対して怒りを表します。大后の抵抗によって祭祀が滞っており、仁徳天皇は大后をなだめようと四苦八苦します。このように大后石之日女は仁徳天皇からは独立した女性です。これは儒教の影響を受ける前の、強い権利を持った日本の女性の姿を現していると言えそうです。

 

古い起源をもつ神話ほど、記録では新しい時代に書かれるという原則があります。文字が伝わり、部族の歴史を記録する事業が始まった時、記録が残っている歴史のすぐ前の時代に、支配的な部族に伝わる神話が配置されます。周辺の部族や大国の影響を受けてできた新しい神話が古い時代に付け加えられていくのです。

 

旧約聖書はその傾向が顕著で最も古い記録は士師紀とされ、ヨセフやアブラハムの神話はユダヤ王国・イスラエル王国が成立してから、民族を統合するために成立した神話です。創世期はさらに新しくバビロン捕囚前後にバビロニアの影響を受けてできた神話だろうとされています。

 

仁徳天皇の神話は邇芸速日命の神話で、場所としては河内に伝わる神話ではないかと思います。邇芸速日命はおおらかで賑やかなのが好きなお父ちゃん。きれいな女に弱く、強い女房に振り回される。大阪は昔からこんな感じだったのでしょう。

2019年6月23日 (日)

八咫烏とペガスス座

スタートウィンクルプリキュアにブルーキャットが味方に入ったことですし、久し振りに「日本神話の星座解釈」を更新します。

日本神話で神武天皇を大和に導いた八咫烏(ヤタガラス)も、やはり星座ではないかと私は考えています。それはペガスス座です。10年前にオリオン座の三ツ星がヤタガラスではないかという説を唱えたことがありましたが、ペガスス座に変更します。

八咫烏の特徴は、三本足であること、カラスであること、神武天皇を大和へ道案内したこと、兄宇迦斯(エウカシ)・弟宇迦斯(オトウカシ)兄弟によって弓矢で狙われたことです。ペガスス座はこれらの条件をすべて満たします。

Kojiki73_20190623232701
ペガスス座は秋の天空に昇る大きな四辺形です。秋の夜空は目立つ星が少ないので、ペガスス座は誰にでも見つけることができる星座です。さて、四辺形の一つの頂点から、残りの三点に線を伸ばすと矢印ができます。すなわちこれが三本足です。
Kojiki74
三本足とは、四辺形の頂点をつないでできる矢印のことだったのです。
ペガスス座のあたりは星が少なくて空が真っ黒に見えます。だからカラスなのでしょう。
それだけではありません、ペガスス座は秋の夜空の道案内人です。頂点を結んでできる直線の延長線上にさまざまな星座があります。
Kojiki51
β星からγ星に線を引いた先には、古事記ができた西暦700年頃の春分点がありました。
γ星からα星に線を引いた先にはアンドロメダ座と北極星があります。
β星からδ星に線を引いた先には秋の夜空唯一の一等星フォーマルハウトがあります。 
δ星からα星に線を引いた先にはアンドロメダ座とペルセウス座があります。
γ星からβ星に線を引いた先には白鳥座のデネブがあります。
Kojiki52
さらに、矢座の矢印の向かう先はペガスス座です。
Kojiki70
 
ペガスス座が八咫烏であるとしか考えられないのですがいかがでしょうか。

2017年11月 8日 (水)

天津神神話と天体の対応関係

古事記の天津神神話と天体の対応関係を表にまとめました。神話の説明へのリンク集にもなっていますので、索引としてご使用ください。

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2017年11月 4日 (土)

惑星兄弟

神倭伊波礼毗古命の別名は若御毛沼命および豊御毛沼命でした。彼らは四人兄弟でした。ただし、私は若御毛沼命と豊御毛沼命を二人と数えて五人だと考えています。
 
神倭伊波礼毗古命は黄道上を旅します。黄道を旅する天体と言えば惑星です。そう、若御毛沼命たちは惑星の別名だったのです。
 
 

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2017年11月 1日 (水)

神武東征と天の川

神倭伊波礼毗古命は、熊野川をさかのぼり、吉野の山中を越え、宇陀で兄宇迦斯(えうかし)・弟宇迦斯(おとうかし)兄弟の妨害を受けました。
 
命はまず八咫烏を遣わして降伏を勧告します。すると、兄宇迦斯は鳴鏑(音の出る矢)で八咫烏を追い返して、命に敵対する意思を明確にしました。しかし軍勢が集まらなかったので、偽って命に降伏して、家に引き入れて罠で殺そうとしました。しかし、大久米命の機転によって神倭伊波礼毗古命は助かり、兄宇迦斯は自分が仕掛けた罠にかかって死にました。
 
弟宇迦斯は命に降伏して、様々なご馳走でもてなしました。
 
 

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2017年10月28日 (土)

神武東征と秋の星座

九州を出発した神倭伊波礼毗古命は、瀬戸内海を東に進み、浪速で邇芸速日命の軍勢とぶつかりました。邇芸速日命軍の将軍登美能那賀須泥毗古が放った矢が、神倭伊波礼毗古命の兄の五瀬命に当たりました。
 
五瀬命は「我々は日の神の子孫であるのに、太陽に向かって戦ったので負けてしまった。これからは迂回して、太陽を背に受けて敵を討とう。」と言って南に向かいました。五瀬命は血沼海で手についた血を洗い、紀伊国の男の水門(紀ノ川の河口)で亡くなりました。
 
ここから先、神倭伊波礼毗古命は、次々と不思議な怪物や半人半獣の怪人?と出会います。これらの怪物や怪人は秋の黄道の星座です。しかし秋の黄道の星座は暗くてぱっとしない星が多いので、神よりは一段落ちる怪物として扱われています。古代人は、薄暗い秋の夜空は、怪物がうごめく得体のしれない世界とみなしていたようです。
 

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2017年10月25日 (水)

槁根津日子とカノープス

生れ故郷の日向を兄の五瀬命と一緒に出発した神倭伊波礼毗古命は、速吸門で槁根津日子(さをねつひこ)に出会います。槁根津彦はまたの名を椎根津彦(しいねつひこ)と言い、神倭伊波礼毗古命の道案内をしました。
 
豊後の佐賀関(大分県大分市南部)には椎根津彦神社があります。そして豊後と伊予の佐多岬に挟まれた海域を速吸瀬戸(豊後水道)と呼びます。佐賀関には速吸日女神社があります。私は縁あって佐賀関に何度か行ったことがあります。この地域には神武東征に関する独自の伝承が残されています。
 
速吸瀬戸の名前の通り、この海域は非常に潮の流れが速いです。有名な関サバは、早い潮にもまれて身が引き締まると言われています。そのため、航海するためには水先案内人が不可欠でした。椎根津彦は豊後水道を象徴する神様なのです。
 
 

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2017年10月21日 (土)

三人の神武天皇

古事記の上巻は、天津日高日子波限建鵜葺不合命(あまつひこひこなぎさうがやふきあへずのみこと)が、玉依毗売命(たまよりびめのみこと)との間に、4人の子供をなすところで終わります(後述するように、私は5人と考えていますが)。
 
その子供とは上から順に
  • 五瀬命(いつせのみこと)
  • 稲氷命(いなひのみこと)
  • 御毛沼命(みけぬのみこと)
  • 若御毛沼命(わかみけぬのみこと)=豊御毛沼命(とよみけぬのみこと)=神倭伊波礼毗古命=(神武天皇)
の四人です。

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2017年10月18日 (水)

男女が織りなす日本神話

古代日本人は、神々は男女ペアの存在であり、神々が睦み合うことで自然のサイクルが回り、反目し合うことで自然のバランスが崩れると考えていました。
 
そして神々には、神々個人としての役割と太陽神に仕える神々としての役割、二つの面がありました。個人としての役割は太陽がいない夜に発揮され、太陽神に仕える神としての役割は太陽が空に昇る昼に発揮されました。
 
太陽がいない夜には、神々は自分の力を直接人間に及ぼします。例えば、春の星座である邇邇芸命と木花之佐久夜毗売は、春に人の心をウキウキさせて、若い男女の恋を祝福します。
 
反対に邇邇芸命と木花之佐久夜毗売が太陽と一緒に天に昇る秋には、木花之佐久夜毗売は太陽から力を奪って、太陽を衰退させます。これは要するに、恋人である邇邇芸命が、太陽神天照大御神に仕えているので、木花之佐久夜毗売は嫉妬して、天照大御神の力を奪うからです。
 
しかし、神々が反目して自然のバランスを崩すこともまた、自然の営みとして欠かせないのです。
 
 

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2017年10月14日 (土)

神倭伊波礼毗古命とシリウス

5)男神の神格
それでは、男神の神格と季節の関係はどのようになっているのでしょうか。

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